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第六ポンプ Pump Six & Other Stories by パオロ・バチガルピ(訳:中原尚哉,金子浩)

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  • なし 第六ポンプ Pump Six & Other Stories by パオロ・バチガルピ(訳:中原尚哉,金子浩) (Hero, 2013/11/12 12:54)

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なし 第六ポンプ Pump Six & Other Stories by パオロ・バチガルピ(訳:中原尚哉,金子浩)

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/11/12 12:54
Hero  常連   投稿数: 397
 パオロ・バチガルピの短篇集。
 彼の作品は近未来が舞台である。たかだか数百年後。どうやら,人類は宇宙開発には向かっておらず,問題の中心は環境問題であり,食糧問題であるようだ。バイオ系あるいは医療系技術は高度に進化しているかわりに,貧富の差は大きくなり,貧困層の困窮は度合いを強めているらしい。世界はよりいびつになっている。巨大企業は独占を謳歌し,機会を得られなかった人々は飢えに苦しんでいる。
 カロリーマンやイエローカードマンは彼の処女長編「ねじまき少女」へと直接つながっている世界だ。チェシャ猫が至る所で繁殖し,穀物メジャーが利益を独占する社会。とても住みやすい環境とは言えないが,人はそれでも生きていかなければならないのだ。糞みたいな世界であっても。

ポケットの中の法 (Pocketful of Dharma)
 成都には活建築。それはそのうちに旧市街を飲み込むのだろう。ワン・ジュンのポケットの中にあるデータキューブにはダライ・ラマがいる。そのデータキューブを狙う人々がワン・ジュンをつけ狙う。中国の一都市成都を舞台にしたパオロ・バチガルピのデビュー作。

フルーテッド・ガールズ (The Fluted Girl)
 封建制度の下,楽器として人体改造された双子の少女リディアとニア。リディアは反抗的で,すぐどこかへ隠れてしまう。彼女の最後の希望はガラスの小瓶に入った琥珀色の粒。二人の演奏シーンはとてもエロティックだ。

砂と灰の人々 (The People of Sand and Slag)
 人類は砂を食べて生きられるようになった。ゾウムシ技術のおかげだ。体を切り刻んでも,すぐに元通りになってしまう人々。普通の生物はもはや生きていないと思われた鉱山地域で犬が見つかる。昔ながらに有機物を食う。糞をする。骨が折れたり,病気になれば,なかなか治癒しない。面倒くさい動物!でも,何か気持ちが癒される。変な感じだ。

パショ (The Pasho)
 砂漠の村から出て水の都で学びパショとなってきた若者ラフェル。砂漠の民ジャイと水の民ケリは昔対立していた。ラフェルの祖父はケリの街を焼き払った英雄でもあった。しかし,今や水の都は復活し,砂漠の村は未だに貧しいままだ。ラフェルと昔気質の祖父は話せば,今も対立する。「ちがうよ,じいちゃん」

カロリーマン (The Calorie Man)
 今やエネルギーの主流となっているのは遺伝子操作された穀物なのだった。ただ,この穀物は不稔性なのだ。だから独占企業だけがおいしい汁を吸える。しかし,ここにボーマンという企業から解雇された技術者がいる。彼は稔性の穀物を作った。はるか昔に絶滅させられた稔性の穀物だ。この種さえあれば,世界は独占企業のものから開放されるだろう。ラルジは彼をミシシッピ川を密かに下らせて,連れてくるように依頼される。ボーマンを見つけたラルジはIP警察を躱しながら,ミシシッピ川を下り始める。

タマリスク・ハンター (The Tamarisk Hunter)
 水資源が枯渇したアメリカ。その中西部でタマリスクを伐採することで水を得ている人々がいる。タマリスクは水を大量に消費するために,伐採されなければならない植物なのだ。そんな一人ロロの物語。

ポップ隊 (Pop Squad)
 不死を手に入れた人類。その代償として,子作りは禁じられた。それでも,不死さえも捨てて,隠れて子を作ろうとする女性はいなくならない。違法に作られた子供は殺されなければならない。それがポップ隊の役目だ。

イエローカードマン (Yellow Card Man)
 難民には仕事がない。かつては海運業で手広く儲けていたチャンもその難民の一人だ。今では住む家もなく,肉体労働で微々たる金を稼ぎながら,ゴミの中から食べ物を漁って歩く毎日だ。たまに仕事の空きが出るようだが,その枠を取る競争率は並大抵ではない。チャンは己の運を呪いながらも,そんな最低の生を生きていくしかない。

やわらかく (Softer)
 ほんの些細なことで妻を殺してしまったジョナサン。風呂に妻の死体と浸かりながら考えてみる。自分の世界は根本から変わってしまった。でも,どこかにほっとしている自分がいる。

第六ポンプ (Pump Six)
 ニューヨークで下水管理をするトラビス・アルバレス。下水処理に使われているポンプは最近よく故障する。特に第六ポンプがひどい。故障を修理するのはいつもトラビス・アルバレスだ。何故なら,彼以外,字というものすら読めないからだ。上司ですら!
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