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夏の沈黙 Disclaimer by ルネ・ナイト(訳:古賀弥生)

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2016/7/25 18:14
Hero  常連   投稿数: 397
 テレビドキュメンタリー制作者のキャサリンは手がけたドキュメンタリーで賞を獲り,まさに順風満帆である。ところが,引っ越し先で見慣れない本を手にして,愕然とする。そこに書かれていたのは自分自身のことだったのだ。「行きずりの人」というタイトルの本の中には20年にわたってキャサリンが隠し続けてきたあることが書かれていた。あの夏の日のことが。

 まいりました。これは素晴らしい!

 物語の中盤まで読み進めると,読者はほぼその全容が掴めたような気になってしまう。何故,キャサリンがその夏のことを誰にも離さなかったのか?誰が,何の目的で「行きずりの人」を書いたのか?そして読者はその結末のいくつかを予測するだろう。ところが,ラストまで読み進めると,読者の予測はことごとく覆されるはずだ。まさかそんなことが…。
 キャサリンを主人公にした章と「行きずりの人」を書いたと思われる男の章が交互に語られていく。キャサリンの章では,彼女の心理が存分に語られ,男の章では,何故この本が書かれるに至ったかが語られる。そして,作者は実に巧妙に,読者をとある結論に至らしめていくのだ。素晴らしき伏線とミスディレクション!
 途中までは,こんな陳腐な物語に誰が感動するものかと思っていると,見事に物語は進行し,素晴らしきラストに到達する。これがデビュー作とは!恐るべき新人だと思う。
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